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  • 執筆者の写真相田真理

かけ出しライターの私が、ベストセラー作家に疑問をいろいろぶつけてみた。【その③】伝えたいことがまとまらない

更新日:2021年8月20日



「伝えたいことをうまくまとめられない」。そんな経験はないだろうか? 伝わる文章には必ず「型」があるという。私の知っている型というと、「起承転結」だけど……。プロはどんな型を使っているんだろう? 前回に続き、株式会社文道の藤吉豊さん、小川真理子さんの共著『『文章術のベストセラー100冊』のポイントを1冊にまとめてみた。』(日経 BP)をもとに、文章の型について質問をしてみた。



伝わる文章には、型がある


文章の基本的な書き方はつかめてきた。そして今回のテーマは「どうやってまとめるか」ということ。自分の苦手とする分野でもあるので、張り切って質問をしたい(笑)。私は、文章量が多くなればなるほど、うまくまとめきれなくなってしまう。何かいい方法はないだろうか?


「文章のプロたちはいくつかの『型』を活用しています。型とは、文章の流れを示すパターンのことです。なぜ型に当てはめるかというと、6つのメリットがあるからです。1つ目は、どの内容を、どの順番で書けばいいのか、迷うことがなくなる。2つ目は、書くスピードが速くなる。3つ目は、文章の流れがよくなる。4つ目は、情報の過不足がなくなる。5つ目は、論理展開が破綻しにくくなる。6つ目は、結論がはっきりする。ですから、文章の型を使うことで、わかりやすい文章が書けるようになるんです」(藤吉さん)


わかりやすい文章には、「型」が使われているのか! どの順番で書けばいいか悩むことが多かったので、使わない手はない。具体的に、どんな型があるんだろう?


「代表的な3つの型を紹介します。1つ目は『逆三角形型』、2つ目は『PREP(プレップ)法』、3つ目は『三段型』です。1つ目の逆三角形型は結論を先に述べる、『結論→説明』タイプです。結論を先に出すことで、『何が言いたいのか』が明らかになるため、情報を的確に伝えることができます。


2つ目は『PREP(プレップ)法』で、『結論→理由→具体例→結論』という形をとります。『逆三角形型』と同様に結論が先です。この型は読み手の理解・納得・共感をうながすことができます。


3つ目は『三段型』です。『序論→本論→結論』で構成されます。主に論文やレポートで活用します。論文では『結論があと』が原則。『三段型』で大切なことは序論で論点をひとつに絞り込むことです」(藤吉さん)



オススメの型は「PREP法」


なるほど。とりあえずこの3つをおさえておけば、まとめるのが苦手な私でも、幅広く対応できそう! ちなみに、藤吉さんオススメの「型」はあるのだろうか?


「僕は『PREP(プレップ)法』が使いやすいと思います。なぜかというと、ビジネス文書やプレゼンテーションだけでなく、ブログ記事を書くときにも使える便利な型だからです。PREPとは、Point、Reason、Example、Pontの略です。理由や具体例を踏まえた上で、もう一度、結論を述べるので、『結論→説明』の型よりも論理的な構成になります」(藤吉さん)



PREP法の例文
【結論】
仏教では、「地域や家庭の中で、自分の役割を持つこと」が 健康長寿の秘訣であると教えています。「使命感を持って、毎日を生きる」ことが、健康寿命を伸ばす方法です。 
【理由1】
なぜ、役割を持つと健康寿命が伸びるのでしょうか。 理由の一つは、役割を持つことで生きがいや自己肯定感が高まるからです。 
【理由2】
医学的にも、「地域で役割のある高齢者は長生きする(死亡率12パーセント減)」ことが明らかになっています。 
【具体例】
男性でもっとも長生きした木村次郎右衛門さん(故人)も、 90歳まで畑仕事を続けるなど、自分の役割を持っていました。 
【結論】
「使命」とは、「命」を「使う」と書きます。自分の役割を見つけ、それに向かって命を使っていく。それが仏教の教える「長寿の秘訣」です。

「『文章術のベストセラー100冊』のポイントを1冊にまとめてみた。」(日経BP)より


ビジネスシーンからブログまで活用できるとは。「PREP法」はすごく使いやすそうだ。藤吉さんはさらに、こんなことも付け加えてくれた。


「より伝わりやすい文章にするには、『提案』を加えます。最後の『結論』に、具合的な方法を加えると、知識を行動につなげることができます。たとえば、『早起きは三文の得』を『結論』とします。


『朝起きるのが苦手な人は、カーテンを開けて寝てみるのもおすすめです。朝早くから寝室に光が差し込むようにすると、寝起きがよくなります』という具体的な提案をすると、読み手は行動に移しやすくなります」(藤吉さん)



コメントの「型」、ブログの「型」


代表的な型を知って、ライティングへのモチベーションが上がる私。ライターの仕事以外でも、ブログを書いたり、商品のレビューを書いたりする機会ってあるもの。そんなときでも型は使えるのかな?


拙著『文章力は最強の武器である。』で『真似しやすい5つの型』をまとめました。その中の一つを紹介すると、『概要説明→印象に残ったこと→コメント』の型です。この型は、本や映画のレビュー(評論)、商品のインプレッション(印象)など、対象物に対する自分の評価、感想を述べるときに使いやすい型です。


たとえば、映画のレビューの場合、『概要説明』では、映画のあらすじと、出演キャストを説明。『印象に残ったこと』では、自分がもっとも好きなシーンや、心動かされたシーンをピックアップ。『コメント』では、『なぜ、印象に残ったのか』その理由、感想を説明します。この3つの要素を書くことで、映画や本のレビューが伝わりやすくなります」(藤吉さん)


「人物インタビューの型もあります。『きっかけ』と『エピソード』と『これからの夢』をつづっていきます。この3つを書くと、文章がまとまるのでよく使ってきました。人物の魅力を伝えたいときに役に立つと思います。


もう一つはブログの型。私たちが主催する文章術のセミナーで『ブログのワーク』として、次のテーマと型をお伝えしています」(小川さん)



ブログ記事のテーマ
今、自分が夢中になっているもの、ハマっているもの、好きなものを、1200~2000字で紹介する。

1時間で書ける「ブログの型」
(1)好きなものの「特徴」
(2)好きになった(それを始めた)「きっかけ」
(3)それを人におすすめする「3つの理由」(メリットなど)
(4)始めてみたいと思っている人への「アドバイス」

「『文章術のベストセラー100冊』のポイントを1冊にまとめてみた。」(日経BP)より


「この型に沿って書くと、初心者でも1時間あれば、記事を作成できます。型通りに書くだけで自然と論理的な構成になり、読者に伝わりやすい文章になりますよ」(小川さん)


「型の活用は、文章力を身につける一番の近道です。スポーツでも、楽器演奏でも『フォーム(型)』がありますよね。文章の型も同じだといえます。型を身につけ、それに従って書くだけで、誰でもわかりやすい文章が書けるようになります」(藤吉さん)



今回で学んだこと(まとめ)


最後に藤吉さんが話してくれた「型の活用が、文章力を身につける一番の近道」という言葉が印象的だった。文章力は長年の経験がないと、身につかないものと思っていたので、上達するためにも型をどんどん活用していこうと思う。次回は「文章力をレベルアップする方法」。少しずつライティング力が上がっている……!


【ここをチェック】

・「型」を使うメリットは6つ。

 ①『どの内容』を、『どの順番』で書けばいいのか、迷うことがなくなる

 ②書くスピードが速くなる

 ③文章の流れがよくなる

 ④情報の過不足がなくなる

 ⑤論理展開が破綻しにくくなる

 ⑥結論がはっきりする

・代表的な型は、逆三角形型、PREP法、三段型

・コメントの型、ブログの型がある

・文章力を身につける一番の近道は型を活用すること

 

■教えてくれた人

藤吉豊(ふじよし・ゆたか)

株式会社文道、代表取締役

男性情報誌、自動車専門誌、2誌の編集長を歴任。2001年からフリーランスとなり、雑誌、PR誌の制作や、ビジネス書籍の企画・執筆・編集に携わる。インタビュー実績は2000人以上。2006年以降は、ビジネス書籍の編集協力に注力し、200冊以上の書籍のライティングに関わる。大学生や社会人に対して、執筆指導なども行なっている。


小川真理子(おがわ・まりこ)

株式会社文道、取締役

編集プロダクションにて、雑誌や企業PR誌、書籍の編集・ライティングに従事。今までのインタビューの実績は数知れず。得意なジャンルは「生活」全般、自己啓発など。自ら企画編集執筆した本に『親が倒れたときに読む本』(エイ出版)がある。近年は、ライティング講座にも力を注ぐ。


※文道では、2021年10月より女性向けライター養成講座を開催予定。お問い合わせは、info@y-academy.co.jpまで。


■参考資料

 

■取材・執筆

相田真理(あいた・まり)

女性向けのコミュニティ「富女子会」の運営に携わる。「お金」にまつわるテーマをもとに、イベントや講座の企画、開催に従事。主催した「ライティング講座」で藤吉氏、小川氏よりライティングを学ぶ。のちに「富女子会ライター部」を設立し、17名のメンバーと共に活動中。

 

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