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  • 執筆者の写真Byakuya Biz Books

GAFAM出身者が集まる会社・フライウィールが見るデータ活用の未来



データ活用後進国と言われる日本。「IMD世界デジタル競争力ランキング」で63カ国中29位と過去最低の順位を記録するなど、DX化、データ活用といった点で世界的に後れを取っている。これに対し、独自のデータ活用技術で日本企業をサポートしているのがフライウィールだ。エンジニアの3人に1人がGAFAM出身者である会社であり、データ活用において高い技術力を誇ると言う。そこで、データ活用が進まない理由から、同社の主力製品である「Conata(コナタ)」について、そして実際の解決事例までを聞いた。



日本企業のデータ活用が進まない現状


――日本企業のデータ活用が遅れているという問題意識から今のサービスを展開しているとのことですが、具体的にどういうシーンでそれを感じますか?


 日本企業の問題点を考えるとき、よくKKD(経験、勘、根性)を言われることがあります。実際、店舗の店長が「これが売れたから、あれも売れるだろう」「これが売れたから、あれも売れるだろう」といった判断をしているんですね。多少なりともデータを使っているケースでも、昨日、先週はどうだったか? 前年比でどうだったか?を見るんですけど、最終的にはその人の主観で決めていて、複合的に活用しているわけではありません。


――主観での判断だとなぜうまくいかないんでしょうか。


 小売店で言えば、一人ひとりの嗜好性が多様化した結果、少品種多ロットを取り扱うことが挙げられます。そしてコロナ禍も影響して、個別に配送することも増えてきました。その結果、在庫管理でも物流でもこまかなケアが必要なんです。つまり、個人が個別に決めていくのではなく、他店舗を含めた会社全体で情報を集約した上で最適な品ぞろえをしたり、配置をしたりすることが求められていると思います。人口が増えているわけではありませんから、売上を上げながら利益率も上げていくために必要なことなんです。


もしデータがうまく活用できれば、チャレンジングな仕入れ、つまりリスクを取ることができます。要は売れるのがわかっているので、仕入れの数を増やして、仕入れ価格の交渉も可能です。新商品開発や新規出店時もデータをもとに判断することだってできます。


――これは、小売以外の業種でも同じことが言えるんですか?


 駅のデジタルサイネージ(屋外や店頭、交通機関などで、ディスプレイなどの映像表示機器を使って情報を発信するもの)でも同じことが言えますね。ここに広告を流すわけですが、よくあるのが、一日ずっと広告を流して○○円です、というものです。これだと、お客様へのリーチが偏ったものになってしまいます。


一日中、女性向けの化粧品の広告を流していても、結局ターゲット層ばかりが見るわけではありません。駅の利用者のうち、どんな人が見ているのか、カメラのインプレッション情報や交通系ICの情報を統合することで、タイミングを見ながら広告を出せます。そうすれば、プライシングの工夫だってできるようになります。


――貴社のメンバーはビッグテック出身者が多いわけですけど、ビッグテックってどういうところがすぐれているんでしょうか。


 できるかぎりデータを集計して、その上で意思決定をして、そこからトライした結果をまたデータで集めて判断していく――そうしたPDCAがしみついています。ビッグテックにかぎらず、アメリカのウォルマートは顧客データ、商品データなどあらゆる情報を統合することで、事業状況を可視化しています。すべてのデータを所有しているわけではなくて、過去2~3週間のデータから予測していて、商品の在庫状況や何をレコメンドするかなど、こまかく活用していますから。


――その点、日本企業はまだ遅れていると。


 日本企業では部分的なデジタル化――紙の電子化から始まり、それをどう集約して全体可視化して、何をしようか……という実験的な検証をしているところから進めていないことが少なくありません。


データをビジネスに活かす取り組みはしているんです。データを整備して、目的に合わせて修正するといった試行錯誤をくり返すんですけど、すごく時間がかかってしまう。そして気がついたら1年、2年経ってしまった。その上結果も出ないことが少なくないわけですね。


平 和馬さん

株式会社フライウィール Product Marketing Manager

株式会社フライウィールに2022年5月に入社。現在はProduct Marketing Managerとしてマーケットに対するデータ活用やソリューションの訴求から新規顧客開拓、リード生成までを担当。前職はSansan株式会社にて、中小企業からエンタープライズ企業向けに営業や新規事業の立ち上げを経験。その後、出向先のスタートアップ(株式会社EventHub)にてセールスや新規プランの立ち上げを担当。



在庫管理も広告配信もサポートする「Conata(コナタ)」って何?


――データを活用するためには、どこからスタートするのが大事ですか?


 我々が力を入れていることでもあるのですが、データ基盤をきちんと作ることです。事業が変わったり、競合状況が変わったり、さらには社内の人間が出たり入ったり、いろいろなことが起こります。そうした変化にも汎用的に活用することができます。


――データ基盤というのは、ただエクセルなどにまとめる、というわけではなさそうですね……。


 実際、データはだいたいエクセルに入力することが多いですよね。ところがいざ活用しようと思ったときにどうなるか……たとえばカタカナで「パン」と調べてみます。おそらく食べるパンを想像すると思うんですけど、「フライパン」などもヒットしてしまうわけです。


――なるほど。データにはなっているけど、こちらの意図以外のものも出てきてしまうと。


 情報を集める段階でも、お客様はフォーマットやこちらの意図を気にして書いてくれるわけではありません。それは人間だったらわかりますけど、機械じゃわからない情報をどう処理するのか。我々はそれを処理する技術を持っているわけです。機械が理解できるように処理をした上で、関連性や順番付けをして何をヒットさせるか内部で選ぶので、ビジネスにおいて適切に役立てることができます。


――それがデータプラットフォームの「Conata(コナタ)」なわけですよね。


 はい。コナタはデータ基盤とオファリングを自由に組み合わせて、課題に対する最適なデータソリューションを提供します。データ基盤というのは企業内に点在するさまざまなデータを活用できるように、データを収集、整備、変換することです。


そしてオファリングというのはデータをアウトプットする機能です。レコメンドや検索、計測などを行うことで、売り上げの最大化をすることが可能です。


――たとえば在庫管理ではどんなことができるんですか?


 TSUTAYAの書店事業において当社が提供し、自動発注システムと連携している「Conata Demand Planner」というソリューションがあります。そもそも本はデータとして扱うのがむずかしいものなんです。というのも、購入頻度が高いわけでもなく、同時にたくさん買うわけでもありません。併売商品を分析する手法にバスケット分析(※)がありますが、それだとうまくいかないんですね。


また、勘と経験でいえば、Aというマンガを買ったら、きっとBやCも買うだろうと判断できるかもしれないですけど、お客様が本当に買ったかどうかはわかりません。つまりデータドリブンではない。我々の場合は、Aのマンガを買ったら、芋づる式にC、D、Hも買っているよねとデータでわかります。すると、ある書店でAというマンガを買った実績があれば、当然、ほかの書店でもCやD、Hも置くことができるわけです。もちろんほかの施策や、地域性も考慮した上で、ですけどね。


※特定の商品とあわせて購入されることの多い商品を分析する解析手法。バスケット(買い物かご)の中にある同時に購入された商品を分析することで、消費者の「共通する傾向」を調べる。ビールとおむつが有名な例。



広告もレコメンドも、一人ひとりのニーズに合わせて配信


――広告活用でも、ターゲットに適切なアプローチができるんですか?


 広告配信サービス「Conata Discovery Ads」を提供していますが、これはECモールやマーケットプレイス事業者が、サイト内の検索結果などに出品商品の広告を表示し、広告配信による収益を得ることができるようになるものです。


商品の類似性やお客様の嗜好性をもとにレコメンドするのですが、広告として配信したい/したくない商品など、商品登録情報に含まれている情報に基づいて、広告配信の調整を柔軟に行うことができます。そのため、「水だけ売れて利益が出ませんでした」といったケースが起こりにくいわけです。


吉野 ECプラットフォームの課題「持っているデータをいかに金銭的なメリットに変えていくか」と、サプライヤーの「売れる機会があればもっと売りたい」というニーズをうまくマッチさせることができると判断して今の形になりました。


最近ではリテールメディア(小売事業者が提供するさまざまなメディアのこと)が一つのキーワードになっていますが、自社サイト自体をメディアとして活用していく動きも背景にありますね。


――とにかく露出させるのではなく、データをもとにピンポイントにアプローチしたほうがメリットは大きいし、それができるわけですね。


吉野 そうですね。昔の広告はテレビや新聞といったマスメディアに載せる広告がメインでしたけど、Googleの検索広告を皮切りに、データがあるがゆえに一人ひとりのニーズに合わせた広告配信ができるんです。消費者一人ひとりの体験をよくすることもできます。


――集英社のマンガアプリ「マンガMee」に、レコメンドエンジンを提供していますよね。


 「Conata Discovery Recommend」ですね。これはユーザーの一人ひとりにとって購読価値を感じる最適な作品のレコメンドを、リアルタイムで行い、売上の最大化を目的としています。大きな特徴としては、サービス提供者が保有している今までのレコメンドでは活用しきれていなかったデータも駆使し、当社独自のデータ活用技術を通じてリアルタイムに解析を行います。そして、データから作品とユーザーの関連性や文脈を導き出し、一人ひとりに最も関連性が高く、適切な作品を提供することが可能になるんです。


――レコメンド機能って、視聴履歴をもとに行われますよね。一度、自分と興味のないものを観てしまうと、延々と興味がないものを推されるイメージなんですが……。


 実証段階テストの段階では、我々の場合でもそれは起こります。ただ、それは学習を重ねることで減らすことができます。


吉野 元々、データのソリューションも100パーセント完璧なものではなくて、徐々に改善していくものなんです。ですから、ユーザーがたまたま興味がないものをクリックした場合でも「次は観なかった」ことが情報として残ります。その結果、さらに調整されていくんです。


――逆に、まったく興味がないものと出会うようなレコメンドも可能なんですか?


吉野 セレンディピティという観点から、組み込むこと自体は可能です。そしてそれがクリックされるかどうかもデータとしてとることができるわけですね。


吉野祐輝さん

株式会社フライウィール Director of Client Offering

株式会社フライウィールに2020年2月入社。現在はDirector of Client Offeringとしてビジネス機能を持つ Client Offering Dept. の統括部長を担う。前職はGoogle JapanのAPAC Analytical Leadとして、日本市場を含めたアジア太平洋地区のアプリディベロッパーに対して、データ分析(機械学習など)を活用したマーケティング戦略策定を支援。



データ活用の第1歩。小さい成功体験を積み上げよう


――そもそも「データ」というのは、これまでお話しいただいた顧客データのことをおもに指すんでしょうか。


平 最も多いのは顧客データであるID−POS(顧客情報がひもづいた購買データ)ですね。ID−POSという言い方をするかはむずかしいですが、ECサイトでの行動情報、たとえば先ほどお話ししたマンガアプリでは、利用者がどんな本をどのくらい読んだかといった情報がわかります。これも顧客データと言えますね。


――データ活用と相性が悪い業種ってあるんですか?


平 あまりないですね。たとえば「うちはデータを持ってない」というメーカーの声を聞くこともありますが、今は業界の垣根を越えていく動きが盛んになっているので、もちろん許諾は必要ですが、卸や小売のデータを一緒に使うことも可能です。つまり、ニーズがあるところには必ずそのデータを手に入れる方法があるんです。


――ということは、どんなビジネスにおいても、今後はデータドリブンな意思決定が必要になってくると。


 そうですね。我々としてはぜひご相談くださいと言いたいところですが(笑)、まずは身の回りのデータを見て、意思決定をしてみることから取り掛かるといいと思います。その結果、うまくいかないこともあるはずですが、むずかしさだったり、もしくはその価値だったりを一人ひとりが認識していく。その結果、いろいろな選択肢も考えられるようになると思います。


吉野 データを使った小さな成功を積み上げていくことが大切ですね。データを使って意識が変わったとか、データを整理したら時間効率化できたと蓄積されれば、社内でもどんどん広まっていくと思います。我々も同様に、依頼者であるお客様には、小さな成功から取りかかり、スピード感をもって成功していただく。成功体験を積み上げていくことを重視して今後もデータ活用を広めていこうと思っています。

 

FLYWHEEL

https://www.flywheel.jp/

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