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恐竜がフロントでお出迎え!「変なホテル福岡 博多」はココがスゴイ

■話し手:変なホテル 中崎大助さん

#福岡県 #ホテル #旅行


スーパーでいち早く導入され、コンビニでも展開予定の「無人レジ」。人手不足や人件費の高騰を解消するものとして一般的なものになりつつあるが、ホテル業界で先駆けて導入したのがHISホテルホールディングス(株)が展開する「変なホテル」である。その特長は、フロントで出迎えてくれる、恐竜をはじめとしたロボットたち。ただの自動精算機を置くのではなく、「お客さまファースト」の発想で生まれたホテルは、現場の業務効率化にどれほど貢献しているのか? 変なホテル福岡 博多のマネージャーである中崎大助さんに聞いた。



ホテル業界にイノベーションをもたらす「ロボット化」


「変なホテル」は、世界初のロボットが働くホテルとしてギネスに認定されたホテルです。さまざまな先進技術で快適なホテルステイをサポートしており、これから開業するホテルも含めて15施設を展開しています。


私が勤務する「変なホテル福岡 博多」は、10拠点目となります。ここではロボット技術を駆使した恐竜型(ヴェロキラプトル)2体のフロントロボットに加え、エントランスからフロントまでは映像プロジェクションで演出しており、今までにない宿泊体験を提供しています。


チェックイン時は恐竜が話しかけてくれる(左)。映像プロジェクションでは恐竜のアニメーションが楽しめる(右)


福岡市はインフラが整っており、空港や駅からのアクセスが非常に便利で、海外からのインバウンド需要が見込めます。当ホテルは市内の中洲川端駅から徒歩3分の立地ですが、近郊だけでも3つのホテル(約600部屋)が来年までにオープンします。大きなイベントなどが実施された場合は、現状、ホテルが不足していますから、今後もホテルが増えていくはずです。


当ホテルは今年の1月に開業し、80パーセントの稼働率を目標に、順調に推移しています。「変なホテル」は人手不足を解消するため、現場の生産性向上を追求しています。


しかし、ただのコストダウンでは、お客さまに価値あるホテルステイを提供できません。接客にロボットを活用することではじめて、省力化と娯楽性を両立し、お客さまにご支持いただいているのだと思います。


フロント係は2体の恐竜ロボットが務め、客室では、タブレットサービスの「tabii(タビー)」を用意しています。ホテル館内の案内やその土地ならではのグルメ・観光情報、動画コンテンツなど豊富なコンテンツを取りそろえているほか、空調や照明、テレビも簡単に操作できるんです。


同時に、これまで電話や対面で対応していたお客さまからの問い合わせの多くを「tabii」内のコンテンツやQ&Aチャットボットに置き換えることができるので、業務の効率化も実現できています。


1600万色のカラーでクリエイティブな照明体験も。客室設置型タブレットをタッチするだけでシーンを設定できる


そのほか、フランスベッドと共同開発を行ったマットレスは寝返りしやすい工夫が施されており、最先端の眠りをお届けしています。日本初となるクリーニングロボット「LGスタイラー」は、クタクタになったスーツやシャツが、このスタイラーに入れてボタンを押すだけで「服がよみがえる」と評判です。


LGスタイラー。ビジネス利用の宿泊客に大好評


こうした先端技術の導入は業界でも先行していると自負していますが、当社がホテル事業では後発にもかかわらず実現できたのは、「チェンジ・アンド・クリエイト」という企業風土にあると思っています。これは「変なホテル」の名前にも由来しており、「変」には「変化し続ける」という意思が込められています。


ですから、現場からのアイデアは積極的に採用されます。当ホテルのデスクにそなえつけられた鏡も、女性スタッフによる発案で実現したものです。ただ、「お客さまのために、いかに効率的に提供できるか?」を前提に考えるので、お客さまが望んでも、スタッフが動かなくてはならず、スタッフが少ないので、サービスがちゃんと行き届くのかの見極めも欠かせません。


女性ならではの視点で誕生したライト付きの鏡



効率化が進んだ環境ならではのオペレーションとは?


私は1999年にエイチ・アイ・エスに入社しました。当時は福岡における認知度が低く、店頭でのチラシ配りなどをする毎日でした。この20年間、旅行業一筋でやってきた経験から言えるのは、適正なサービスは会社や個人によって異なるということです。


現在は送客する立場から、受け入れる立場に変わったわけですが、旅行でもホテルでも正解はありません。ホテルの運営をしていくなかで、見極めていかざるをえない、つまり、そのつど修正していく柔軟性が必要なんです。


変なホテル福岡 博多 マネージャー 中崎大助さん


ホテルのあり方が変われば、それだけ業務のあり方も大きく変わります。少ないスタッフで業務を回すために業務効率を考えなければなりません。「変なホテル福岡 博多」は全102室のホテルです。そこで1日5~6名勤務し、2名が常駐しています。


ホテルでは一般的に、フロント業務と客室の点検(故障や破損、汚れなどがないかの確認)が人手のかかる業務です。とくにフロント業務では、チェックイン(15時前後)とチェックアウト(9~11時)の時間帯が忙しくなります。


フロントの自動化でチェックイン・チェックアウトは無人で対応できるので、有人フロントに比べると、業務に費やす時間は少なくなります。ただ、機械であるがゆえ、機械の不具合といったイレギュラーも起こるので、お客さまにご迷惑をかけないようにしなくてはなりません。


また、ロボットホテルなので無人をウリにしていますが、「スタッフがいないと不安になる」「人がいると残念がる」というふうに、スタッフの必要性はお客さまによってさまざまです。見極めが難しいのですが、無人であっても不安を取りのぞくことができるサービスを提供することが今後の課題ですね。


ロボットは最大の武器ではあるものの、不具合が起こると大きなマイナスイメージを与えてしまいます。日ごろから、問題が起きていないか確認することが不可欠です。また、スタッフが限られているので、お客さまのご依頼に即対応できない場合には、しっかり言葉を選んで、対応できないことに対して誤解を招かないようにすることも心がけています。


省力化と娯楽性の両立はまだまだ模索しているところです。とくに、ロボットを導入して業務の効率化が進んでも、コミュニケーションは欠かせません。


ロボットを使うホテルのスタッフも、ホテルをご利用いただくお客さまも感情のある人間です。スタッフの意見にばかり耳を傾けるとお客さまの満足につながらず、逆にお客さまの意見ばかり尊重してしまうとスタッフから不満が出ることもあります。


当ホテルのマネージャーとして、できるだけ中立で冷静に物事を考え、「お客さまのために、いかに効率的に提供できるか?」を実現していきたいですね。

変なホテル

https://www.hennnahotel.com/

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