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補助金は「もらえるお金」ではない。経営者なら知っておきたい「3つの真実」

  • 執筆者の写真: 清水謙伍
    清水謙伍
  • 19 分前
  • 読了時間: 4分

「もらえるものはもらっておこう」――そんな安易な気持ちで補助金に手を出し、かえって経営を悪化させる社長が後を絶ちません。累計150件以上の採択に関わり、現場の「光と影」を見てきた中小企業診断士の清水謙伍さんは、「補助金は正しく使えば薬になるが、一歩間違えれば会社を壊す毒になる」と警鐘を鳴らします。新刊『補助金で沈む会社×伸びる会社』をもとに、補助金の基本知識を解説していただきます。



補助金をもらったのに会社がつぶれる!?


「補助金が通ったはずなのに、なぜか社長の表情が曇っている」。 私は中小企業診断士として、これまで150件以上の補助金採択に関わってきましたが、このような光景を何度も目にしてきました。

 

世の中には補助金の申請書を通すためのテクニックがあふれています。しかし、最も肝心なことが語られていません。それは「補助金は使い方を誤れば、会社を破滅に導いてしまう」ことです。

 

この記事では、補助金を検討している経営者が必ず知っておくべき「3つの真実」を解説します。



真実1:補助金は「後払い」という資金繰りの罠


多くの経営者が陥る最大の誤解は、採択されればすぐにお金が入ってくるという思い込みです。補助金には「精算払い(後払い)」という鉄則があります。

 

・まず、自社のお金(または融資)で設備投資を行う。

・事業を実施し、その証拠書類をそろえて報告する。

・厳しい検査を経て、ようやく数カ月後に入金される。

 

たとえば、3000万円の機械を導入し、その3分の2が補助される場合でも、一時的に3000万円を自社で支払わなければなりません。このタイムラグを計算に入れていないと、手元の現金がショートし、黒字ならぬ「補助金倒産」を引き起こすリスクがあります。



真実2:「給付金」とはまったく別の重い責任


コロナ禍で支給された「持続化給付金」などの感覚で、補助金に手を出してはいけません。給付金が現在の危機をしのぐための「輸血」だとすれば、補助金は未来の成長のための「投資」です。国の税金を原資とした投資である以上、そこにはきわめて重い責任が伴います。

 

・5年間の報告義務:事業が計画どおりに進んでいるか、毎年国へ報告する。

・収益納付のルール:補助金を使った事業で想定以上の利益が出た場合、その一部を国に返納する。

・資産処分の制限:補助金で買った機械を勝手に売却したり廃棄したりしてはいけない。無断で行えば、補助金の返還を求められる。

 

補助金を受け取るということは、国という厳しい投資家と「5年間の契約」を結ぶことと同義なのです。



真実3:「もらうこと」が目的になると会社は沈む


「何か補助金が出るらしいから、新しい事業を考えよう」。このような「逆算ビジネス」の発想で始めた事業は、高い確率で失敗します。

 

本来、経営には「実現したいビジョン」があり、その手段として資金調達(補助金)があるべきです。しかし、補助金をもらうことが目的化すると、自社の強みとは無関係な分野へ無理な投資をしてしまいます。

 

・本業の衣料品店とは無関係な「無人餃子販売」を始める。

・流行りに乗って身の丈に合わない「ヨガスタジオ」を開業する。

 

これらの事例に共通するのは、事業に対する「自責の覚悟」の欠如です。補助金はあくまで目標達成を早めるための「ブースター」であり、補助金がなければやらないような事業は、そもそも手を出してはいけないのです。



成功する会社が持っている「7つの視点」


では、補助金を「毒」ではなく、事業を成長させる「薬」にするためにはどうすればよいのでしょうか。累計150件以上の採択実績を持つ現場から見えてきた、成功企業に共通する「7つの視点」があります。

 

(1)採択後のキャッシュフローを描いている。

(2)本業の延長線上に投資計画がある。

(3)自責思考で「補助金に依存しない」前提を持つ。

(4)補助金を「体験版」ではなく「本気の投資」と捉えている。

(5)「スモールスタート」を意識する。

(6)支援者との「対話」を重視する。

(7)すべてを貫く「覚悟」がある。

 

補助金制度は今、大きな転換点を迎えています。単なる救済の時代は終わり、本気で成長を目指す企業を後押しする「成長投資」へとシフトしています。

 

あなたが今考えているその事業は、たとえ補助金がなくてもやり遂げる覚悟がありますか? もし、補助金を正しく使いこなし、会社の未来を本気で切り拓きたいと願うなら、テクニックの前に「正しいマインド」を身につける必要があるのです。


 


【この記事を書いた人】

清水謙伍(しみず・けんご)さん

清水ビジネスパートナー株式会社 代表 

香川県高松市生まれ。東京理科大学理工学部卒業後、香川県の建設機械メーカーに入社。生産管理業務に従事する。2014年、中小企業診断士資格取得。2017年より東京のコンサルティングファームで事業再生や資金調達などのコンサルティング実務の経験を積み、2021年に独立。補助金を活用した事業成長スキームの構築には定評があり、大型投資など経営的に重大な局面における意思決定の支援を得意としている。

著書に『補助金で沈む会社×伸びる会社』(白夜書房)がある。

 
 
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