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新しいことをしない起業術:成功例から逆算して「マネる→ズラす」で勝つ

  • 執筆者の写真: 編集部
    編集部
  • 22 時間前
  • 読了時間: 10分

「『起業したいけど、独自のアイデアがない』『差別化しろと言われても、何をどう変えればいいかわからない』。そう悩んでいる人に、はっきり伝えたいことがあります。それは、“起業に、オリジナルのアイデアはいらない”ということ。むしろ、誰もやっていない新しいことを考えようとすること自体が、失敗への近道です。世の中の企業のすべてが、唯一無二の強みや特徴を持っているわけではありません。成功している多くのビジネスは、すでに売れているモデルを“別の場所・別の切り口”で再現したものにすぎないのです」ーーそう語るのは、複数の会社を所有する投資家・村上学さん。自身の著書『どんなビジネスを選べばいいかわからない君へ』をもとに、天才ではないあなたのための起業論「二番煎じの究め方」を、ステップごとに解説します。



起業で失敗しやすい人の共通点


村上さんはまず、起業でつまずきやすいパターンが3つあると言います。

 

①新しいアイデアで勝とうとする

新しいサービスを作るほど、仮説と検証が増えます。つまり、失敗の理由が増える。資金も時間も限られる初期ほど、これは致命傷になります。そもそも、新しさは「売れる」とイコールではありません。誰も知らない商品は、認知させるための宣伝、使い方を理解させるための教育、信頼を積み上げるための時間が必要になります。勝負が長期化するほど、資金と体力が削られます。

 

②「勉強してから」と言って永遠に始めない

起業の世界には理論もノウハウもあふれています。ところが現実には、目立たないけど稼いでいる人ほど、最初から体系的に学んでいるわけではありません。必要に迫られて、その都度覚えている。勉強が悪いのではなく、始めない言い訳としての勉強が危険です。

 

③最初から「ビジョン」「社会貢献」を掲げて迷走する

ビジョンを否定しているのではありません。順番の話です。まずは事業を存続させる土台(稼ぐ)が必要で、ビジョンはその後に意味を持ちます。稼げるようになってから語れば十分です。

 

この明らかな失敗を避け、着実に稼ぐビジネスを立ち上げるための軸となるのが、村上さんがおすすめする「二番煎じを究める」という方法です。

 

 

二番煎じを究める


「二番煎じ」と聞くと、盗用=パクリの印象を抱くかもしれません。しかし、村上さんの言う「二番煎じ」とは、「成功している誰かのやり方を、空いているほかの市場でやる」こと。ただのコピーではありません。

 

「新しいことをやめるのは、挑戦しないためではなく、不要なリスクとコストを避けるためです。成功例はすでに需要があると証明されています。だから、検証コストを大幅に下げられる。結果が出ていないものに対して模索し続けるのと、すでに結果が出ているものに同じやり方で取り組むのとでは、後者のほうが確実性は高いはずです」(村上さん)


一から考えるのではなく、成功例から逆算する(書籍『どんなビジネスを選べばいいかわからない君へ』より引用)
一から考えるのではなく、成功例から逆算する(書籍『どんなビジネスを選べばいいかわからない君へ』より引用)

「二番煎じを究める」とは具体的に何をするのか? 先に全体像を紹介します。

 

「二番煎じの究め方」全体像

 

ステップ1:自分の「立ち位置」を確認する(やりたい<できる)

ステップ2:完コピする(成功事例をマネる)

ステップ3:タテかヨコにズラす

ステップ4:半年で反応がなければ修正する



ステップ1:自分の「立ち位置」を確認する(やりたい<できる)


二番煎じといっても、何でも好き勝手にできるものではありません。自分の力でマネられるビジネスは何か、先に当たりをつけておくことが大切です。そのとき、「自分が何をしたいか?」「将来どうなりたいか?」ではなく、「(お金を稼ぐために)今の自分に何ができるか」という視点で考えるのが出発点となります。そして、それは次の2つに分解することができます。

 

①自分のモチベーションや強みとリンクしているか

②その業界の「儲かるポイント(裏側)」を知っているか

 

「事業は努力がムダになることのほうが多く、時給・月給感覚に慣れた仕事のやり方ではモチベーションは続かず、苦しいときにがんばれません。その上で、自分の強みを掛け合わせると、進むべき業界がクリアになるんです。強みは人的リソース(スキルや人脈)と資本リソース(お金)ですね」(村上さん)

 

つまり、料理は好きだけど接客は嫌いなら、飲食店は向いていません。ほかの業界に目を向けられれば、仕出し弁当を作ったり、レシピを公開して料理研究家やインフルエンサーになる道も選べるということ。

 

そしてぼんやりと選ぶべきビジネスが見えてきたとき、「業界についての知識・経験」の有無も欠かせない要素です。お金を稼げるポイントを知っているからこそ、誰のやり方をマネればいいかがわかるからです。

 

たとえば、この業界でお金が落ちる場所が言える、利益が出るのは単価か、回転か、継続のどれか、仕入れ、人件費、固定費のうち、最も重いのはどれか……このような判断ができるかどうかです。

 


ステップ2:完コピする(成功事例をマネる)


すでに結果が出ている成功事例を探します。対象は、業界のナンバー1、あるいは自分が参入したい分野で着実に稼いでいる企業です。ただし、気をつけたい点もあるとか。

 

「マネる相手(ベンチマーク)を間違えると、努力がすべてズレます。大企業、天才、カリスマを選んではいけません」(村上さん)

 

自分のスキル・人脈、資本(お金)で再現できる相手を選ぶことが前提です。下図で言えば、Aです。現時点、または少し努力すれば行ける必要があります。もしどちらも足りない場合(D)は、スキルや人脈を得て(B)→お金を貯める(C)に進むのがおすすめです。


自分は今、どこにいるかを確認する(書籍『どんなビジネスを選べばいいかわからない君へ』より引用)
自分は今、どこにいるかを確認する(書籍『どんなビジネスを選べばいいかわからない君へ』より引用)

ベンチマークは(できれば)10社リストアップし、次の項目で分析します。

 

①商品・サービスの内容

②顧客(誰に売っているか)

③商圏(どこで売っているか)

④資本(どれくらいの規模で動かしているか)

⑤収益構造(何で稼いでいるか)

⑥オペレーション(どう運営しているか)

⑦コスト(何にお金をかけているか)

⑧営業・集客の方法

⑨必要な許認可

 

現時点の自分の状況(人的リソース、資本リソース)を考慮して、1社を選びます。これらを分析した結果が「勝てる事業計画」となります。

 

「完コピの目的は、創造性ではなく検証可能性です。まず同じ条件でやって、同じ反応が出るところまで寄せる。そうしないと、何が原因でうまくいった/いかなかったのかが特定できません。アレンジを入れたくなるという人ほど危ないです。アレンジは魅力的ですが、初期にはノイズになります」(村上さん)



ステップ3:タテかヨコにズラす


ズラしは、空いているほかの市場に持っていくことです。経営をしていく上で競争は避けられませんが、モデリングしているところがナンバー1であれば、結果として自分も勝てる事業計画を作っていることになります。したがって、同じ土俵で競争するのではなく、できるだけ勝ちやすいフィールドで勝負しようというわけです。

 

ズラし方は大きく2つ。


①タテにズラす(細分化)

②ヨコにズラす(商圏移動)

 

①タテにズラす(細分化)とは、商品・顧客・商圏のどれかを絞り込む方法です。一般的な整体院なら「腰痛専門」「夜間専門」に絞ることで、競合のいないニッチな市場を作り出せます。絞り込むほど競合は少なくなり、ターゲットへの刺さり方は強くなります。

 

②ヨコにズラす(商圏移動)とは、同じモデルを別の場所・地域に持っていく方法です。これは厳密に言うと2パターンあります。一つは、同じ商品を別の商圏に持っていくこと。もう一つは、商品のエッセンスを抽出したものを、別の商圏の商品に当てはめること。ちなみに、別の商圏とは、顧客層が同じで、市場規模と構造が類似している場所を言います。

 

後者のズラし方について、もう少し具体的に説明しましょう。たとえば、大阪でお好み焼き屋を始めようとしている場面を考えてみます。ベンチマークに選んだのは、「ご当地グルメ」として成功している広島で展開されている広島風お好み焼きのお店です。まず分析するのは「なぜそのお店が選ばれているのか」。にんにくをたっぷり使った味なのか、盛り方が映えるのか、激辛メニューが差別化になっているのか。そのエッセンスを抽出できたら、それを大阪風お好み焼きに落とし込むわけです。

 

ただ、「大阪にはお好み焼き屋がたくさんあるから、空いている市場とは言えないのでは?」という疑問が出るかもしれません。村上さんは次のように答えます。

 

「大阪風お好み焼きのようなご当地グルメは、店舗が多いほど市場が活性化し、結果として市場全体が大きくなります。競合がいくらいようと、差別化してナンバー1になればいいのです。そのためのナンバー1戦略として、他エリアの成功事例からエッセンスを抽出してズラして持ち込むことが有効なのです」

 

一つだけ注意点が。ベンチマークした広島風お好み焼きのお店を丸ごと大阪に持ってくることはできません。理由はご当地グルメを求めてくる方は広島に来る人は広島風を求めていますが、大阪に来る人は大阪風を求めているからです。もちろん、ターゲットが別の層で成り立っている広島焼きのお店で、大阪にその層がいるエリアであれば持ってくる事は可能になります。

 

そして、タテ・ヨコどちらのズラし方を選ぶ場合にも、最重要ルールが一つあります。変える要素は一つだけにすること。2つ変えると、当たり外れの理由がわからなくなり、修正不能になります。この「1点だけ変える」という制約は、スピードと修正精度を両立させるための知恵です。

 

 

ステップ4:半年で反応がなければ修正する


「石の上にも三年」は、ビジネスでは美徳になりません。半年経っても反応がないなら、何かが間違っています。だから修正します。

 

ただし、修正は根性ではなく点検です。まず確認すべきは「完コピが本当にできているか」という点です。うまくいかない原因の多くは、知らず知らずのうちに自己流が混ざっていることにあります。お手本の収益構造や集客の仕組みを、もう一度ていねいに見直すことが先です。

 

次に確認するのは「ズラし先に本当に需要があるか」です。ズラした先の市場に、そもそもニーズがなかったというケースもあります。その場合は執着せず、ベンチマークかターゲットを変えます。

 

ここが、二番煎じ戦略のもう一つの強みです。新規発明型のビジネスは、失敗しても「何が間違っていたのか」が見えにくい。市場がないのか、商品が悪いのか、タイミングが早すぎたのか。原因の切り分けが難しいのです。しかし成功モデルを参考にしている場合は、「完コピができていたか」「ズラし先は適切だったか」という2点を点検するだけで、修正の方向が見えてきます。修正できる設計になっているからこそ、失敗を次に活かせます。

 


まとめ:凡人が最短で稼ぐための4ステップ


あらためて整理しましょう。

 

①自分のアイデアを捨て、すでに売れている成功事例を探す

②ベンチマーク10社を9項目で分解し、完コピする

③タテかヨコにズラす(タテ=細分化、ヨコ=商圏移動)

④半年で反応がなければ、ベンチマークかターゲットを見直す

 

特別な才能は必要ありません。ただし、「正しい手順を泥臭く実行し続ける行動力」は必要です。二番煎じを究めるとは、楽して稼げる魔法ではなく、再現性の高い「手順」だからこそ、誰でも取り組めるのです。



【話を聞いた人】

村上 学(むらかみ まなぶ)さん

株式会社オリジナルベースキャンプ代表取締役

明治大学卒業後、新卒でIT企業に入社し1年後に株式会社オリジナルベースキャンプ(会員制の登山コーディネート業)を設立。その後、日本初の自衛隊・米軍高官専門カフェバー、米軍専門不動産賃貸業のほか、東洋のストラディバリウスとして名高いバイオリン工房「Jin工房」の営業権を獲得し世界中で展開。さまざまな会社を所有する投資家であり、世界を10周以上している現役のバックパッカーでもある。


 
 
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