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「私はいらない人間?」他人の噂話で不安になってしまう|カレー坊主のお悩み相談

  • 執筆者の写真: カレー坊主
    カレー坊主
  • 11 分前
  • 読了時間: 4分


【カレー坊主のお悩み相談 #12今回の相談は、パワハラによる休職から復職した矢先、同僚の軽率な噂話から「自分は異動させられる不要な人間なのか」と強い不安に襲われているというお悩みです。他人の不確かな言葉によって引き起こされる自己否定と恐怖。カレー坊主さんが、法相宗の教えと猿沢池の和歌を引き合いに出して向き合います。



【相談】

昨年6月に現在の職場へ異動し、1カ月半でうつ病を発症し休職してしまいました。原因は上司からのパワハラでした。今年の1月より所属グループを変えてもらった上で復職をしたのですが、先日、ある飲み会で先輩から「今年の定期異動の中に私がメンバーとして入っている」という話を聞きました。職場の箇所長には「まだ仕事をすべて経験できていない状態なので、前の職場とかに戻りたいとかはなく、むしろ今の職場や支社で経験したい」と復職後の面談でも伝えていました。その先輩に「私はどこへ?」と聞いたのですが「まだ変わる可能性があるから」と濁されてしまいました。先輩は年下で若いとはいえ、異動情報を知っているのならそれを話すのはちょっと軽率じゃないのかな、と個人的には思ってしまいました。私自身「あ、いらない奴なんだろうか……」と思ってしまい、「変わるかもしれない」とか「異動したら異動した先でがんばればいい」と言い聞かせても不安な気持ちがいきなりやってきてしまう状態です。不安な気持ちを拭ってしまう方法、何か良い案があれば教えていただけますと幸いです。30代、女性、運輸業技術職、ぎょくろらんまるさん



【希望する回答の「辛さ」】

お任せ



【カレー坊主さんの回答】


先日、あるお寺で法話をさせていただいたときのことです。後ろのほうに座っていたご夫人方が、途中からひそひそと話を始められました。何を話しているのかまでは聞き取れません。


「今日の話し方がおかしかっただろうか」

「気に障ることを言ってしまったのだろうか」


考え始めると、悪い想像ばかりが次々と浮かんできます。気づけば口は法話を続けているのに、自分が直前に何を話したのか、まったく思い出せなくなっていました。その日、どんな法話をしたのか、いまだにほとんど覚えていません。


先輩から聞いた異動の話も少し似ている気がします。飲み会での先輩の一言は、正直、軽率だったと思います。どんな意図であれ、人を不安にさせる言い方は、できれば避けてほしいものです。


そういう人との付き合いも含めて、言葉を受け取る側には工夫が必要なのでしょう。奈良の猿沢池には、こんな歌が伝わっています。


手を打てば

鯉は餌と聞き

鳥は逃げ

女中は茶と聞く

猿沢の池


同じ手拍子でも、鯉には餌の合図、鳥には危険の知らせ、女中にはお茶の呼び出しになります。音はひとつでも、意味は聞く人の心がつくっているのです。


実は、猿沢池のすぐそばには、法相宗大本山・興福寺があります。法相宗は「唯識(ゆいしき)」という教えを伝える宗派で、「私たちは世界をありのままに見ているのではなく、自分の心を通して見ている」と説きます。


だから同じ一言でも、安心している人には何でもない言葉が、不安な人には脅しのように聞こえることがあります。


「異動候補にいる」という一言も、心が落ち着いている日に聞くのと、不安な日に聞くのとでは、まるで違う言葉になります。


法話の途中、ひそひそ話を聞いて悪いことばかり想像してしまったのも、きっと同じことだったのでしょう。頭ではそうだとわかっていても、心はなかなか追いついてくれません。


そんなときは、紙に書き出してみるのも一つの方法です。「聞いた事実」と「自分が考えたこと」を分けて書くだけで、絡まっていた心が少しほどけることがあります。ちなみに、カレーの黄色いシミは、日光に当てると薄くなります。紫外線が色素を分解してくれるからだそうです。


抱え込んだままでは落ちなかったものも、外の光に当ててみると、案外あっさり薄れていくことがあります。心のシミも、誰かに話したり、紙に書いたりして、光の当たる場所へ出してみると、少しずつ色が抜けていくのかもしれません。



【答えた人】

カレー坊主

浄土宗僧侶/一般社団法人仏教カレー協会 理事

1984年生まれ、長崎県大村市出身。一般家庭に生まれ育ち、大学を卒業後すぐに縁あって僧侶の道へ進み、2008年に浄土宗教師となる。現在、 浄土宗長安寺(長崎県大村市)に勤務。誰もが気軽に参加できる無料イベント「いきなりカレー」や、地域の子ども食堂の運営にも参加し、地域社会と仏教を結びつける活動に力を入れており、カレー好きな僧侶 「カレー坊主」として、SNSを通じて日々の活動や仏教をユーモアを交えながら発信している。好きな言葉は「とりあえず、やってみる」。著書に『カレー坊主が教えてくれた みんなの仏教入門』(白夜書房)がある。


X(Twitter):@curry_boz


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