部下が自ら動く! 自走するチームの作り方とエゴグラム活用術
- 編集部

- 2 日前
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更新日:1 日前

良好な人間関係を築くだけでは、組織の成果は最大化されません。「人にやさしく」することと、組織として「約束を守る」こと。この両立をいかにして科学的に実現するか。本稿では、大手企業の研修でも活用されている心理分析ツール「エゴグラム」を用いた育成術と、部下の成長速度を3〜5倍に高める「自責思考(大人村)」への導き方について、人間力コンサルタントの網谷洋一さんが詳説します。
エゴグラムで「心のパラメーター」を読み解く
「なぜ、あの部下には言葉が響かないのか」。マネジャーが抱えるこの悩みに対し、網谷さんはまず共感して信頼関係を築く。その上で、「相手の個性に合わせて指導をすることが大切」と説きます。その方法が、「網谷式エゴグラム」。人間の心の働きを5つのエネルギーに分類し、どんな個性を持っているかを判断するというもの。
・CP(厳しい親):正義感や規律、批判精神。
・NP(やさしい親):思いやりや共感、育成。
・A(大人):論理的、客観的な判断力。
・FC(活発な子ども):自由な発想、遊び心。
・AC(従順な子ども):協調性、周囲への適応。
くわしくは網谷さんの書籍をご覧いただくとして、たとえば部下が規律を守るのが得意なら「CP」の働きかけが有効であり、アイデアを求めるなら「FC」を刺激する必要がある、といった具合です。
そして、管理職、マネジャーにとって最も重要なのは、自分自身の「A(大人)」のエネルギーを司令塔として機能させること。感情にまかせて叱るのではなく、「今の部下の状態には、どのエネルギーで言葉をかけるのが最も効果的か」を客観的に判断し、使い分けることが求められます。
「他責」という依存から「自責」という自立へ
網谷さんが人材育成において究極のゴールに掲げるのが、部下を「子ども村」から「大人村」へと移動させることです。
・子ども村(他責思考):何か問題が起きた際、環境や他人のせいにする住人が集まる場所。
・大人村(自責思考):起こった出来事に対し、「自分にできることは何か」を考える住人が集まる場所。
網谷さんの主宰するアカデミーでは、大人村に住む自責思考の人は、子ども村の住人と比較して成長速度が「3〜5倍」に跳ね上がるとか。
「多くの部下は、無意識のうちに『上司が指示をくれないから』『会社の方針が悪いから』と子ども村に留まろうとします。マネジャーの役割は、エゴグラムやほっこり石を駆使して、部下が自ら大人村へ移りたいと思える環境を整えることにあるんです」
「人を動かす」のではなく「人に動いてもらう」
前編でも触れたとおり、マネジメントとは「人に動いてもらう」技術です。力で無理やり「大人村」へ連れて行くことはできません。上司が「NP(思いやり)」を持って相手を承認し、「A(論理)」を持って自責のメリットを伝える。その積み重ねによって、部下は「自分の人生の責任を自分で取る」という覚悟を決めます。
部下が「大人村」の住人になれば、マネジャーがこまかく指示を出さずとも、チームは自発的に課題を見つけ、解決に向けて動き出します。これこそが、網谷さんがおすすめする「自走する組織」の姿です。
部下を一人の人間として尊重し、心のメカニズムを理解する。その上で、成果に対しては論理的かつ誠実に向き合い、自立を促す。もし、あなたがチーム運営に限界を感じているのなら、一度立ち止まって問いかけてみてください。「私は部下を操作しようとしていないか?」「私は部下のコップを石で満たしているか?」
答えはつねに、あなたの「人間力」の中にあります。
【記事を書いた人】
編集部
漫画、インタビュー、コラムなど、さまざまな記事を行き来しながら、視点が少しずれる並びを試しています。ウェブメディアの運営とあわせて書籍編集も行っています。近刊は『補助金で沈む会社×伸びる会社』『ゼロからわかるLLMOAIに選ばれるための集客戦略』。
【話を聞いた人】

網谷洋一さん
昭和55年5月5日、大阪生まれ。
人材育成コンサルタント、研修講師、実業家。人間力グループ8社を経営し、そのすべてで黒字化に成功させる。財務大臣・片山さつき氏の公式YouTube「さつきチャンネル」でも紹介・推薦された自身の「人間力メソッド」を広く伝えるため、インド世界経済フォーラムでの登壇をはじめ、国内外を問わず幅広く活動している。



